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 実大免震試験機の仕組

 加力方向をx軸、鉛直方向をz軸、これらに直交する方向をy軸として、上部の反力梁(17)は、三次元空間の中で並進移動と回転の6成分が拘束される必要があります。上加振台(11)は、z軸方向に並進移動可能な下加振台上のリニアベアリングにのってx軸方向に高速で左右に動きます。三次元空間の中でy方向移動と3成分の回転を拘束する必要があります。

 全体説明図の上の(o, a, b, c, d, e)をクリックすることにより、各部分の写真を見ることができます。(d)をクリックするとこのページに戻ります。

<反力壁、反力梁>
  厚さ4.5mの基礎マット上に構築されたロの字型の反力壁は、厚さ3.5mの剛強なプレストレスト・コンクリート構造です。縦横に十分な配筋をしているだけでなく、十分なプレストレスを導入してあります。この南北の反力壁上に、鉛直剛性が大きく水平剛性の十分小さな積層ゴム(16)を12台設置し、この上に反力梁を載せています。これらを48束のPC鋼より線(7本より線(φ12.7)を12本並行に束ね外径は85mm)(16)により、反力壁の基礎マット下面から反力梁の上面まで14m以上の長さにわたり50,000kN以上の引張力で締め付けています。この仕組により、反力梁はz方向、θx、θyの方向にしっかりと拘束されます。この中で、x方向、y方向、θz方向には小さな水平弾性剛性(12台の積層ゴムの剪断剛性と鉛直に設置したPC鋼より線の向きが変わることによる幾何剛性の和)で支持されます。
 上加振台と反力梁の間に試験体を設置し、試験中に大きな圧縮荷重(例えば30,000kN)を作用させると、反力梁に上向の力が作用し、上記の12台の積層ゴムと反力壁に与えたプレストレスが30,000kNだけ減少し20,000kNになります。このとき12台の積層ゴムは1mmほど伸び上がりますが、大きな大きな圧縮力は残存します。剛強な反力壁に与えていたプレストレスによる圧縮力も同様に20,000kNまで減少し、反力壁上面も若干伸び上がります。ただし、この反力壁の断面積は十分大きく伸び上がり変形はほとんど無視できます。
 上向の力を受ける反力梁は、その両端のPC鋼より線を引っ張り上げているように見えますが、実際の力の流れは、12台の積層ゴムに与えていた初期圧縮力が低下することによって、この上向の力が伝達されます。PC鋼より線の全長は14mであり伸び歪みは非常に小さく、PC鋼より線の軸力はほとんど変化しません。プレストレストコンクリート構造の優れた特徴を活用しています。

<計測リンク>
 4000kNロードセルを組込み軸剛性の大きな2本のV字形計測リンク(18)は、剛強な反力壁から反力梁平面の図心を通して設置しているので、反力梁はx方向、y方向に弾性的に拘束されます。この計測リンクを下フランジの高さに接続することにより、試験体の剪断力によって反力梁に生じるy軸回りの捻りモーメントを極力小さくしています。1500kNロードセルを組込んだ軸剛性の小さな2本の平行計測リンク(19)により、反力梁はθz方向に弾性的に拘束されます。
 これらの4本のリンクの両端部分には超強度鋼を用い、断面積を小さくし断面形状を板状または円柱状にして曲げ剛性を小さくしています。機械的なピン構造ではないため軸方向のガタが無く、端部が曲りやすいため反力梁の微小な変位によってロードセル部分に生じる曲げ応力を小さくすることができます。


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